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英語と小論文を同時に勉強できる本のご紹介

“PROS AND CONS”のご紹介

英語を勉強しながら小論文を学ぶことができれば一石二鳥ですね。

当塾は国語専門の塾ですので、英語は教えているわけではないのですが、国立医学部などで英語で課題文が提示されて小論文を書かなければならない場合があります。そんなときは、英語だろうが日本語だろうが読解しなければなりません。同じ言語ですので文法や語法はともかく読解で言わんとすることを読み取るのは似たようなものです。

この本は、様々な問題についての「賛成論」と「反対論」が英語で書かれている本です。テーマは政治、哲学、経済、国際経済、倫理、宗教、教育、文化、スポーツ、法律、犯罪、健康、科学技術など多岐に渡ります。ひとつのテーマにつきPros:賛成論、cons:反対論がそれぞれ3つ程度掲載されています。

こんな本です。

amazonで購入できます。
こちらからどうぞ“PROS AND CONS  A Debater’s Handbook”

ちょっとお高いですが、大学受験生は3日に1題くらいのペースで読んでいくと力がつくこと間違いなしです。英語と小論文同時に対応しなければならない学生にはとてもおすすめです。

 

小論文対策に有効な理由

小論文は詰め込み教育の反省から生まれたもので、論理的思考力の巧拙を評価するものでした。ところが、いくら論理的思考力があるからといって、これまで考えたことのないテーマについていきなりその場で考えだすのは至難の技です。もちろん、無難な解答を作成するというだけならば、いくらでも可能です。しかし、医学部やその他の難関大学入試においては、即興の無難な解答ではいかにも心もとないと言わざるをえません。

たとえば「テレビ放送について国家の規制は必要か」という問いがあったとします。このように課題文がなくテーマだけ提示し考えを自由に綴らせる問題を「テーマ型小論文」と呼びます。

この問題について考えたことのある学生はほとんどいないのではないでしょうか。ですので、その場で即興で考えなければなりません。この問題を考えるときにまず考えなければならないことは、「国家の目的、役割」です。小論文に明示するにせよしないにせよ、国家が何の為に存在しているのかを定義しなければ、放送とはどうあるべきなのかがぶれてしまうからです。

国家はこうあるべきで、だから放送はこうあるべきである。なぜなら・・・というように論を連ねることが出来ると思います。これがひとつの組み立て方だと思います。

ところが、学生にこれを考えさせるのは酷です。書かせたところで、情報が少なすぎて薄っぺらい論しか展開できないことがとても多いのです。

そこで、出題者は課題文を付します。たいていの課題文には課題文筆者の「主張」と「根拠」が著されています。「問い」が分かりやすく明示されていることはあまりなく、筆者の「主張」から「問い」を逆算しなければなりません。これを「課題文型小論文」と呼びます。

課題文を付すことにより、解答作成者は「問い」「主張」「根拠」のひとつのパターンや、様々な情報を参照することができます(これを分けることがそもそもできてないことがめちゃくちゃ多いのですが・・・)。

こうして、解答作成者はそこそこ込み入った解答を書くことができるようになるというわけです。

ところが「課題文型小論文」は、課題文の作者に同調する論文が量産されます。「問い」に「筆者に同調する主張」に「筆者の根拠+α」でそこそこの解答ができあがります。オリジナリティは「+α」の部分だけです。まあ、課題文の構造を見抜けている時点でポイントは高いのですが、そうはいってもやはりオリジナリティは低いですし、小論文のそもそもの趣旨に抵触していると言わざるをえません。

このような事情から、様々な問題に対してあらかじめの教養が必要となってきます。自分が目指す学部に関するジャンルについてだけでもある程度の知識が必要となるのです。医学部についていうとほぼ必須で事前知識が必要となります。インフォームドコンセント、尊厳死、QOLなど、知っている前提で問題を出してきます。

そこで今回このような本をご紹介しました。英語、小論文、現代文、社会を同時に勉強することができる優れものです。そして、ただ受験のためだけではなく、生涯約に立つ知識になるはずです。手に入れて読んでみてはいかがでしょうか。

 

英検1級対策にも有効

日本英語検定協会の「ライティングテストの採点に関する観点および注意点(1級・準1級・2級)」には次のように記されています。

観点(1)内容 課題で求められている内容(意見とそれに沿った理由)が含まれているかどうか

  • アドバイス :自分の意見と合わせて、その理由を明確にしましょう。その際に、多様な観点から考えて、意見を支える論拠や説明がより説得力のあるものになるようにしましょう。例えば、理由を書く際に、単純に「安いから」や「便利だから」だけでなく、安くなることがどういうことにつながるのか、また便利になることの具体的な例なども書きましょう。

観点(2)構成 英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか

  • アドバイス :伝えたい情報の流れや展開を示す表現(接続詞など)を効果的に使って、自分の意見とその理由や英文全体の構成をより分かりやすくするようにしましょう。

観点(3)語彙 課題に相応しい語彙を正しく使えているか

  • アドバイス :同じ語彙や表現の繰り返しにならないように、文脈に合わせて多様な語彙や表現を適切に使用して、自分の意見とその理由を十分伝えられるようにしましょう。

観点(4)文法 文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか

  • アドバイス :同じような形の文の繰り返しにならないように、多様な文のパターンを適切に使用して、自分の意見とその理由をより効果的に伝えられるようにしましょう。

以上の注意点のほとんどは小論文の注意点と変わりありません。あとは英語で書くという点のみが違うだけなのです。今回ご紹介した本を活用することで、以上のような文章を書く力が養われます。

 

まとめ

受験勉強は時間との勝負とも言えます。一つの勉強が二つ以上の科目に有効になるようにいろいろ工夫することがとても大切です。この本でぜひ一石二鳥の効果を上げてください。

 

 

 

外界に働きかける意識と内面に沈み込む意識と文章を書くこと

文章には様々なジャンルがありますが、その中身を見てみると、意識が外界に向かっているか、それとも内面に沈み込もうとしているか、の配合で成り立っているという考え方がひとつ出来ると思っています。

例えば「企画書」は「何かを変えるためのアイデアを実現するために、誰にでも分かりやすく文書の形でまとめた書類」のことです。これは意識が外界に向かい世界を変えようとする文章です。企画書作成者の内面に沈み込むことなどはありえません。いかに外界を変えるかを論理的に説明してあれば、その役割を全うできたことになります。

「随筆」は「自己の見聞、体験、感想などを、心に任せて自由な形式で書いた文章」のことです。これは外界の出来事を通して、内面に沈み込んでいくジャンルです。外界に意識を半分投影しながら、その反作用を内面に感じつつ綴る文章ですので、いちど内面に沈み込む必要があります。

だいたい随筆を書くときには、意識の半分で外界で起こったことを観察しつつ、意識の半分で内面に生じたことを感じることがコツだと教えられることがあります。実際はそんな器用なことは出来ないのであって、外界で経験したことを、帰ってゆっくりひとりで内面で生じたことを吟味するというスタイルになるかと思います。ただし、会話では外界に向かいつつ内面に沈み込みそしてまたそれを外界に投げるという瞬発芸が往々にしてみられます。これはこれで興味深いのでまた改めてよく見てみたいと思いますが、今は文章を書くことに戻りましょう。

「小説」も、意識を外界に向けてあたかも建造物を立てていくかのように構築する部分と、深く内面に沈み込んで混沌のなかから言葉を拾ってくる部分があると思います。伝えるべき何かがあり、その何かが最も効果的なメッセージとなるように、細部を構築していくのは、外界指向ですし、勝手に発想がどんどんわいてきて、アドリブで紙面に綴られていくというのは内面指向です。

どちらか100%というわけではなく、人や書くシーンによって割合が違うように思われます。

「評論」には主張があり、その主張を根拠で固めていくものです。直感的に主張的なものがまずあって、後付けで根拠を付す、そういう場合は一部のみ内面の活動と言えますが、作業の大半は意識を外界に向けて情報を収集し、それを主張に結びつけていくというものになります。

話は変わりますが、一般的に学校教育で課される作文は、「随筆」です。「読書感想文」も「随筆」です。「書評」といわれる場合もありますが、書評も自由な書き方が認められる点からして、随筆の特殊形態と見ることができるでしょう。

生徒たちは随筆の書き方を習うわけではありませんので、作文が苦手になるのも無理がありません。

内面に沈み込んだところで、それを外界に向けて表現することに何の意味があるのか。もうここのところからよくわからないのでしょう。なんでこんなことやらんといけないんだよ、とまあそんな感じです。

作文技術を向上させようとすると、人はなぜ表現するのかということを、考える必要があるようです。そしてそれを生徒に伝え納得してもらわなければならない。

私もこの文章を心の赴くままに綴っています。そのような場を設けようという目的で「考えたこと」というカテゴリーをもうけました。