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テーマ型小論文攻略のキモは良質な問いを発することにつきる

テーマ型小論文攻略法

テーマ型小論文とは、あるテーマが与えられて比較的自由に何かを論じることができる小論文です。

たとえば「医師と患者の理想的な関係について考えるところを800字以内で述べなさい」だとか「日本における高齢社会について思うところを1000字以内で述べなさい」などです。

テーマ型小論文のコツは、「良質な問いを発する」ことにつきます。これは、「思考を深める」でお話しました。自由だからこそ、具体的に問いを設定することで、面白い、独自性の高い論を展開していきたいところですね。

問いの立て方については授業で詳しくお話しています。一つヒントとして、これも「思考を深める」でお話しておりますが「思考の範囲を広げる」をヒントにしてください。つまり、時間・空間の範囲を広げて考えてみるのです。

たとえば、高齢社会のテーマが出ますと、「お年寄り」をイメージしますよね。そのお年寄りだけで文章を書こうとするとどうしても浅い文章になりがちなのです。「お年寄りは大切にすべきである」とかやってしまうわけです。あーやっちゃったなぁっていう具合です。小学生並みになってしまいます。

範囲を広げましょう。まずは空間的範囲から広げます。「お年寄り」の周辺には何がありますか。あるいは誰がいますか。そうですね、真っ先に思い浮かべるのは「家族」です。お年寄りの「息子・娘」「孫」「配偶者」「親族」あたりですね。「ペット」なんかもあるかもしれません。「高齢社会におけるペットの建設的役割と積極的活用について」なんて話に持っていければ、独自ですし、また現実的な論文が書けそうです。確実に記憶に残りますね。もちろん面白ければいいっていうわけではなく、論理的に解答を導かなければなりません。

もっと広げるとどうなるでしょうか。
「ご近所」「世間」「地域」「介護施設」「病院」いろいろ出てきますね。さらに広げると「地方公共団体」「国」。ここまで来るとちょっとした政治論になるでしょう。

このように、空間的範囲をあやつることで、自在に問いを生み出すのです。

さらに。

時間的範囲を広げてみましょう。

「お年寄り」をテーマに過去に戻ってみると、お年寄りも若い時期があったわけですから、バリバリ働いていたこともあったでしょう。子育てで苦労された方もあったでしょう。ものすごくいろいろな体験をしているはずです。すると、「体験」でひとつ問いを発することができそうです。「お年寄りの過去の体験を積極的に活用するためにはどのようにしたらよいか」。立派な問いです。

未来に広げてみると「超高齢社会」になります。そこに様々な問題が出てくることでしょう。加えて「未来かつ国レベル」「未来かつ家族レベル」「現在かつ世間」というふうに、時間に空間の軸を増やすことで、きわめて立体的に物事を見ることができるようになります。

何問もやってみて、とにかくトレーニングしてみると「問い立て上手」になります。

最後に、空間軸に時間軸を加えてさらに「思考を深める~深い部分での対立を意識する~」を取り入れましょう。問いを立てる際、二つの価値観の大きな対立をはらむようにします。どういうことかというと、例を見たほうがいいでしょう。

高齢社会での家族のあり方について「介護」について焦点を当てて、家族で介護すべきか、あるいは施設で介護すべきかという問いを立てることができたとします。お年寄りが家族で介護して欲しいという意思があることを前提としたとき、家族に「葛藤」が生じます。葛藤とは二つの心の対立、「あちらを立てればこちらが立たず」の状態にさいなまれる状態です。

「家族の人情」VS「効率」という対立構造が生じます。人情を優先して家族で介護すると著しく不効率に陥り家族の負担は増えます。すると、介護のため家庭がぎくしゃくしかねません。逆に「効率」を優先して親の意思に反して施設に入れてしまうと、良心が痛むわけです。この「人間的なもの」VS「合理主義」の対立は、資本主義経済が発達している現代のいたるところで、形を変えて発生します。どちらかというと「人間的なもの」が疎外されていますよね。

かといって「合理主義」を悪者にするのも現実的ではありません。ではどうしたらよいか・・・この話は、課題文型小論文に譲りましょう。

問いの立て方にもどります。このように2軸の対立を意識することによって、よりエキサイティングな論に発展していくわけです。対立がない場合は淡々と解答を導くだけでよいのですが、それだと面白みがなくなるし、反論・再反論といった論文のダイナミズムを失ってしまいます。論は反論の抵抗を受けて高みに到達します。

こんな感じで問いをどんどん育てていくことができればもうテーマ型小論文は怖くありません。もう何を書けばいいかわからないなんて言わせません。